最終更新日:2026年4月
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住宅ローンを検討するとき、多くの方が「変動金利と固定金利、どちらを選べばいいのか」という疑問にぶつかります。2024年から2025年にかけて日本銀行が政策金利を引き上げ、変動金利にも上昇の波が及んできたことで、この問いはより切実なものになっています。
本記事では、過去10年の金利推移データをもとに変動金利・固定金利それぞれの仕組みを整理し、2026年以降の金利見通しや借入額・期間別のシミュレーション例を交えながら、自分に合った選択をするためのチェックリストをご提供します。特定の金融機関を推奨するものではなく、読者の皆さまが適切な判断材料を得られることを目的としています。
※本記事の金利・返済額は執筆時点の試算であり、実際の適用金利・返済額は各金融機関の審査・契約により決定されます。最新情報は各金融機関の公式サイトをご確認ください。
直近10年の金利推移
住宅ローン金利の動向を理解するうえで、まず日本銀行の金融政策と市場金利の連動を把握することが重要です。ここでは、日本銀行・住宅金融支援機構・全国銀行協会が公表している公的データをもとに、2016年から2026年にかけての大まかな金利推移を整理します。
日銀の政策と短期金利の推移
日本銀行は2016年1月にマイナス金利政策を導入し、短期政策金利(無担保コールレート翌日物)を-0.1%に設定しました。この超低金利環境は長期にわたって維持され、多くの住宅ローン利用者が記録的な低水準の変動金利を享受できる状況が続きました。
転換点となったのは2024年3月です。日本銀行はマイナス金利政策を解除し、短期政策金利を0〜0.1%程度に引き上げました。さらに2024年7月には0.25%程度、2025年1月には0.5%程度へと段階的に利上げを実施しました(出典:日本銀行「金融政策の変更について」各回公表資料)。
この政策転換を受けて、変動型住宅ローン金利の基準となる短期プライムレートが動き始め、各金融機関の変動金利の基準金利も上昇傾向を見せています。2025年以降の具体的な各行の適用金利については、各金融機関の公式サイトおよび住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」等を参照してください(情報確認日:2026年4月)。
固定金利(フラット35)の推移
住宅金融支援機構が提供するフラット35(35年固定)の金利は、長期国債利回りに連動する傾向があります。2016年の超低金利期には1%台前半まで低下し、その後は長期金利の動向に応じて変動してきました。
2022年以降、米国連邦準備制度(FRB)の積極的な利上げを背景に世界的に長期金利が上昇し、日本でも長期国債利回りが上昇傾向となりました。これに伴い、フラット35の適用金利も上昇しています。住宅金融支援機構の公式サイトでは毎月の適用金利が公表されており、最新数値の確認が可能です(出典:住宅金融支援機構「フラット35金利情報」、情報確認日:2026年4月)。
変動金利利用者の割合の推移
住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」によると、変動型を選ぶ利用者の割合は2010年代から増加傾向にあり、2020年代前半においても民間ローン利用者の過半数が変動型を選択していると報告されています(出典:住宅金融支援機構「2024年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」)。低金利環境が長く続いたため変動型のメリットが享受しやすかった反面、2024〜2025年の利上げ局面において返済額への影響を気にする声も増えています。
変動金利の仕組みを正確に理…
変動金利の大きな特徴は、「市場金利の変動に応じて適用金利が見直される」点です。一般的なルールと注意点を整理します。
金利の見直しタイミングと「…
多くの金融機関では、変動金利の基準金利を年2回(4月・10月)見直しています。ただし実際の返済額に反映されるタイミングは5年ごとというケースが一般的です(「5年ルール」)。また金利が上昇した場合でも、新たな返済額が従来の125%を超えないよう上限を設ける「125%ルール」を採用している金融機関が多くあります。
ただし、この125%ルールはあくまでも「毎月の返済額」の上昇を抑制するものであり、金利上昇分の利息はローン残高に組み込まれることがあります。つまり返済期間中に金利が大きく上昇すると、毎月の返済のうち元金返済に充てられる割合が減少し、ローン完済に時間がかかる可能性があります。金融機関によってルールの詳細は異なるため、必ず契約前に各行の約款を確認してください。
変動金利のメリット
- 金利水準が低い傾向がある:同時点では固定金利より低い水準に設定されるケースが多く、低金利環境が続く場合には総返済額を抑えられる可能性があります
- 繰り上げ返済の柔軟性:固定金利と比較して繰り上げ返済手数料が低い・無料の金融機関が多い傾向にあります
- 金利低下の恩恵を受けやすい:将来的に市場金利が下がった場合、返済額が減少する可能性があります
変動金利のデメリット・リスク
- 金利上昇リスク:市場金利が上昇した場合、返済負担が増加する可能性があります。特にローン残高が多い時期に金利が上昇すると影響が大きくなります
- 返済計画が立てにくい:将来の返済額が確定しないため、長期的な家計計画に不確実性が生じます
- 心理的ストレス:金利動向を継続的に注視する必要があり、金利上昇局面では精神的な負担が生じることもあります
固定金利の仕組みを正確に理…
固定金利は、契約時に決定した金利が返済期間中変わらないタイプです。全期間固定型と一定期間固定型(当初固定型)があります。
全期間固定型と一定期間固定…
全期間固定型(代表例:フラット35)は、借入れから完済まで金利が変わりません。住宅金融支援機構が民間金融機関と提携するフラット35は、保証料不要・団体信用生命保険の選択肢が多い点が特徴です。長期にわたる安定した返済計画を立てやすい反面、契約時点の金利水準が低金利環境の変動型と比較して高くなる傾向があります。
一定期間固定型は、「当初10年間は固定金利、その後は変動金利または再度固定金利を選択」といった商品です。当初固定期間終了後の金利がどのように決まるかを事前に確認することが重要です。
固定金利のメリット
- 返済額が確定する安心感:将来の金利がどう動いても毎月の返済額が変わらないため、家計管理が容易です
- 金利上昇リスクのヘッジ:市場金利が上昇しても返済額に影響がなく、特に金利上昇局面では有利になります
- 長期的な資金計画が立てやすい:教育費・老後資金など他の支出との調整がしやすくなります
固定金利のデメリット・注意点
- 金利水準が高くなる傾向:将来の不確実性リスクを金融機関が折り込むため、同時点では変動金利より高い金利に設定されるケースが多い傾向があります
- 金利低下の恩恵を受けにくい:市場金利が下がっても、固定金利は変わりません(再借換えにはコストが発生します)
- 繰り上げ返済に手数料がかかる場合がある:一部の商品では繰り上げ返済時に手数料が発生するケースがあります
2026年の金利見通し
将来の金利予測は専門家の間でも見解が分かれており、断定的な予測をすることは困難です。以下は2026年4月時点で公開されている情報・見解を整理したものであり、将来の金利動向を保証するものではありません。
日本銀行の金融政策スタンス
日本銀行は2024年以降、物価安定目標(2%)の達成を見据えながら段階的な利上げを実施してきました。2026年時点での政策金利の水準と今後の方向性については、日本銀行が公表する「金融政策決定会合」の声明文や「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を定期的に参照することが不可欠です(出典:日本銀行公式ウェブサイト、情報確認日:2026年4月)。
日本銀行は物価・賃金・経済情勢を総合的に判断しながら金融政策を運営するとしており、利上げの継続・停止・利下げのいずれの可能性も排除せず、データ依存型の政策運営を継続していると表明しています。
変動金利への影響
変動型住宅ローンの基準となる短期プライムレートは、日本銀行の政策金利(無担保コールレート翌日物)の動向と連動する傾向があります。2024〜2025年の利上げを経て、大手銀行の短期プライムレートも引き上げられ、変動型住宅ローンの基準金利も上昇しています。
今後の追加利上げの有無・幅については、国内の消費者物価指数(CPI)・賃金上昇率・為替動向・海外経済情勢(特に米国経済・中国経済)などが重要な変数となると考えられています。ただし金利の予測は本質的に不確実であり、専門家によって見解が異なる点に留意してください。
固定金利(長期金利)への影響
フラット35など固定型住宅ローンの金利は、10年物国債利回り(長期金利)に連動する傾向があります。日本銀行は2024年以降、国債買い入れの縮小(量的引き締め)を進めており、長期金利の形成を市場に委ねる方向性を示しています。
長期金利の水準は日本国内の財政状況・海外金利動向・インフレ率・日銀の政策スタンスなど複合的な要因で決まります。2026年においてもこれらの動向を注視する必要があると考えられますが、具体的な水準については予測が難しく、断定的な見通しを示すことはできません。
専門家・市場の見解
民間エコノミストやシンクタンク(第一生命経済研究所・野村総合研究所・みずほリサーチ&テクノロジーズ等)の多くは、2026年の日本銀行の追加利上げについて「慎重に進める可能性がある」との見方を示している一方、「物価・賃金データ次第では追加利上げの可能性もある」という意見も見られます。各社のリポートや日経新聞・ロイターなどの経済メディアで定期的に更新される専門家見解を参照することをお勧めします。
いずれにしても、「必ず金利が上がる」「必ず下がる」と断定することは現時点では困難であり、複数のシナリオを想定しながら住宅ローンの選択を行うことが重要です。
借入額・期間別のシミュレー…
※以下のシミュレーションはあくまでも試算例であり、実際の返済額・総返済額とは異なります。適用金利・審査結果は各金融機関によって異なります。また、金利は将来変動する可能性があります。税制・保険・諸費用は含まれていません。実際の返済計画は必ず各金融機関の担当者にご確認ください。
シミュレーションの前提条件
以下の試算では、説明の便宜上、変動金利の例として年利0.5%・1.0%・1.5%、固定金利(全期間固定)の例として年利1.5%・2.0%・2.5%を使用しています(いずれも実際の適用金利を示すものではありません)。元利均等返済・ボーナス払いなしを前提とします。
借入3,000万円・35年…
| 金利タイプ | 試算金利(年利) | 毎月返済額(試算) | 総返済額(試算) |
|---|---|---|---|
| 変動金利(例) | 0.5% | 約77,700円 | 約3,263万円 |
| 変動金利(例) | 1.0% | 約84,700円 | 約3,558万円 |
| 固定金利(例) | 1.5% | 約91,900円 | 約3,860万円 |
| 固定金利(例) | 2.0% | 約99,400円 | 約4,175万円 |
| 固定金利(例) | 2.5% | 約107,100円 | 約4,499万円 |
上表はあくまでも金利水準の違いによる返済額の目安を示した試算例です。変動金利については金利が固定された仮定での計算であり、実際には金利が変動します。
借入4,000万円・35年…
| 金利タイプ | 試算金利(年利) | 毎月返済額(試算) | 総返済額(試算) |
|---|---|---|---|
| 変動金利(例) | 0.5% | 約103,600円 | 約4,351万円 |
| 変動金利(例) | 1.0% | 約112,900円 | 約4,744万円 |
| 固定金利(例) | 1.5% | 約122,600円 | 約5,147万円 |
| 固定金利(例) | 2.0% | 約132,500円 | 約5,567万円 |
| 固定金利(例) | 2.5% | 約142,800円 | 約5,999万円 |
金利上昇シナリオ
変動金利を選択した場合、金利が途中で上昇すると返済負担がどの程度増えるかを把握しておくことが重要です。以下は借入3,000万円・35年返済の例で、当初金利が0.5%から段階的に上昇した場合の毎月返済額の変化イメージです(試算。実際の5年ルール・125%ルールの適用方法は各金融機関によって異なります)。
- 当初0.5%:毎月約77,700円
- 1.0%に上昇:毎月約84,700円(差額:約7,000円)
- 1.5%に上昇:毎月約91,900円(当初比:約14,200円増)
- 2.0%に上昇:毎月約99,400円(当初比:約21,700円増)
年収・家計状況によって許容できる返済額の増加幅は異なります。「金利が仮に1〜2%上昇した場合でも返済を続けられるか」を事前に確認しておくことが重要です。
参考:住宅ローン控除との関係
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末ローン残高の一定割合を所得税・住民税から控除できる制度です。2024年以降の制度内容については国税庁の公式サイト、または税務署にご確認ください(出典:国税庁「住宅借入金等特別控除」)。控除率・上限額・適用期間は物件の種類・取得時期・省エネ性能等によって異なります。
変動か固定か
変動金利と固定金利のどちらが「得か」は、金利水準だけでなく、借りる方の家計状況・リスク許容度・ライフプランによって大きく異なります。以下のチェックリストを参考に、自分に合った選択肢を検討してください。なお、このチェックリストはあくまでも判断材料の一例であり、個別の金融商品の推奨・保証を行うものではありません。
変動金利が向いている可能性…
- □ 金利上昇時に繰り上げ返済できる手元資金(目安:借入額の10〜20%程度)がある
- □ 世帯収入が安定しており、今後の増収も見込まれる
- □ ローン返済期間が比較的短い(20年以内を想定)
- □ 金利上昇局面では積極的に繰り上げ返済を検討できる
- □ 金利動向を継続的にフォローする時間・関心がある
- □ 現在の固定金利との差額(金利差)が大きく、差額を貯蓄に回せる
固定金利が向いている可能性…
- □ 月々の返済額を確定させて家計管理をシンプルにしたい
- □ 子どもの教育費・老後資金など将来の支出が大きい
- □ 共働きだが、どちらかが育児・介護等で収入が減少する可能性がある
- □ 金利上昇時に繰り上げ返済できる余裕資金が少ない
- □ 返済期間が長い(30年以上)
- □ 金利動向に関わらず安定した家計計画を最優先にしたい
複数金融機関への事前相談を…
住宅ローンは金融機関によって適用金利・審査基準・諸費用(保証料・事務手数料・団信保険料等)が大きく異なります。SBI新生銀行・auじぶん銀行・ARUHI・住信SBIネット銀行などのネット銀行・専門機関は手数料体系や金利体系が独自であることが多く、比較検討の価値があります。ただし、特定の金融機関が必ずしも有利であることを保証するものではありません。
複数の金融機関に事前審査(仮審査)を申し込むことで、実際の適用金利・審査結果の比較が可能です。住宅ローンの一括審査サービスを活用することで、効率的に複数行の条件を比較できる場合があります。
ファイナンシャルプランナー
住宅ローンの選択は、家計全体のキャッシュフロー・保険・資産形成と密接に関わります。個別の事情に応じたアドバイスを受けたい場合は、独立系のFP(ファイナンシャルプランナー)への相談が有効です。日本FP協会(https://www.jafp.or.jp/)では、相談できるFPの検索サービスを提供しています。
まとめ
本記事の要点を整理します。
- 日本銀行の利上げにより、変動金利は低水準を維持しながらも上昇リスクが高まっている:2024〜2025年の政策金利引き上げを経て、変動型住宅ローンの基準金利も上昇傾向にあります。今後の追加利上げの有無・幅については不確実性があります
- 固定金利は長期金利に連動し、安定性と引き換えに当初の金利負担が大きくなる傾向がある:全期間固定型は返済計画の安定性が最大のメリットですが、変動型との金利差を踏まえたシミュレーションが重要です
- 「どちらが得か」は個人の状況によって異なる:手元資金の余裕・家計の安定性・返済期間・リスク許容度などを総合的に考慮する必要があります
- 複数のシナリオを想定することが重要:「金利が上昇した場合」「ほぼ現状維持の場合」など複数のシナリオで総返済額を比較し、最悪のケースでも対応できるかを確認してください
- 最新情報の確認と専門家への相談が不可欠:金利情報は1ヶ月で変わる可能性があります。各金融機関の公式サイト・日本銀行・住宅金融支援機構の公開情報を定期的に確認し、必要に応じてFP等の専門家に相談することをお勧めします
住宅ローンは人生で最大規模の借入れとなることが多く、慎重な検討が求められます。本記事が金利選択の判断材料のひとつとなれば幸いです。
出典・参考資料
- 日本銀行「金融政策の変更について」(各回公表資料):https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/index.htm
- 住宅金融支援機構「フラット35金利情報」:https://www.flat35.com/loan/flat35/kinri.html
- 住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」:https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_user.html
- 国税庁「住宅借入金等特別控除」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
- 日本FP協会:https://www.jafp.or.jp/
情報確認日:2026年4月|最終更新日:2026年4月
※本記事の金利・返済額は執筆時点の試算であり、実際の適用金利・返済額は各金融機関の審査・契約により決定されます。最新情報は各金融機関の公式サイトをご確認ください。本記事は特定の金融商品・金融機関を推奨・保証するものではありません。
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